欧州カーゴバイク会社のビジネスモデルと採算構造
欧州の宅配で使われるカーゴバイクは、一般の自転車よりも大量の荷物を積めるように丈夫な構造になっており、電動化も進められている。一方で、安全性も重視されるため、1台あたりの価格は高く設定することができ、物流会社との大口契約が期待できることから、欧州では40社以上のカーゴバイク専用メーカーが登場してきている。
欧州のカーゴバイク団体である City Changer Cargo Bike(CCCB)が行った調査によると、2022年には欧州内で43社のカーゴバイクメーカーがあり、前年比ででは36.3%増となる112,429台の車両を販売した。
好調の要因には、各国政府がカーゴバイク導入の補助金を支給していることも大きい。商用のカーゴバイクは1台あたり2,000~16,000ユーロ(約30万~250万円)の価格帯だが、販売台数が多いドイツでは、電動アシストの無いカーゴバイクに最大1000ユーロ(約15万円)、電動アシスト付きのカーゴバイクには最大で2000ユーロ(約30万円)までの、返済が不要な補助金を支給している。
しかし、車両の販売だけではスタートアップメーカーは生き残れないとみられている。ハイテク化されていくカーゴバイクの技術進化は早く、旧型車は中古車としても大量に出回るためである。
そこで、メーカーとは別に登場しているのが、カーゴバイクオペレーターとして車両の提供から管理までを行う事業形態である。オランダを拠点として2018年に設立された 「DOCKR」は、カーゴバイクオペレーターとしての事業を手掛けており、宅配業者や食品デリバリー業者をクライアントとして、独自ブランドのデザインやロゴ付き電動カーゴバイクのカスタマイズ、レンタル、出張整備までを行っている。
クライアントは1台あたり月額300~400ユーロ(約4.7万~6.3万円)のサブスクリプション契約で配達車両を導入することができ、この中には、バッテリー交換を含めたメンテナンス代や保険代も含まれている。そのため、配達する荷物の変動に合わせた増車と減車がしやすく、故障した場合には代車が提供されるため、配達業務への支障が生じにくい。
カーゴバイクオペレーターは、自社で車両の開発は行わずに、複数メーカーから調達しているため、各クライアントのニーズに適した車両を提供しやすいのも利点である。DOCKRが採用している URBAN ARROW CARGO Lという電動カーゴバイクは、実売価格が 8200ユーロ(約128万円)するものだが、1ヶ月単位のサブスクリプション契約が月額379ユーロ(約5.9万円)だが、1年単位の契約では月額319ユーロ(約5万円)と、契約期間を長く設定するほど月額利用料は安くなる。
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