農福連携で推進される障害者就労支援ビジネス
日本では、企業が雇用する社員数に対して2.3%の割合で、障害者を採用することを義務化した「障害者雇用率制度」がある。しかし、通常の職場では障害者に任せられる仕事は少ないのが実情で、障害者雇用の基準をクリアーしていない企業の割合は58.1%と報告されている。
雇用率が未達の企業に対しては、不足している障害者の数1人あたり月額5万円が「障害者雇用納付金」として徴収され(社員数が100人以上の企業が対象)、その資金が、障害者を積極的に採用する企業への支援金として分配される仕組みになっている。
そのため、大企業では、障害者の就労に適した事業を子会社として設立することで、採用率を高める努力をしているが、屋内環境で作業ができる植物工場は、体力的負担が少なくて安全性も高い、勤務地も都市部から近接にある等の条件を満たしている。
農林水産省と厚生労働省でも、障害者が農業施設で就労することを「農福連携」の取り組みとして推進している。具体的な支援策として、農福連携で障害者を採用する農業施設の整備に最大2500万円までと、障害者に農業技術を指導するための研修費として、年間300万円までを交付する制度が用意されている。
さらに、障害者の農業就労についてのアドバイスや就職先の斡旋をする人材に対しても、農福連携の専門人材育成支援として年間500万円までが、国から都道府県を通して交付される。その専門人材にあたるのが「農福連携技術支援者」と「施設外就労コーディネーター」という資格で、農林水産省が認定した団体が行う座学と農業実習の研修を受けることで取得できる。
※施設外就労とは、障害者が支援施設以外の企業などで働くことを指す。
■農福連携に関する支援制度(農林水産省)
厚生労働省のデータによると、日本国内には約964万人の障害者がいるが、その中で377万人は就労可能な人材である。しかし、実際に就労しているのは 94万人に過ぎず、彼らの就労場所を作ることは社会的な課題となっている。企業にとっても、障害者雇用率の基準はクリアーする必要があることから、障害者の求人ビジネスには一定の需要がある。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・大企業が植物工場に参入する理由について
・大規模化する植物工場の採算構造
・高機能野菜による植物工場の付加価値
・世界一のノウハウを持つ日本産イチゴ栽培
・植物工場投資の問題点と方向性の解説
・個人向け農業投資案件の失敗要因について
・植物工場と障害者就労ビジネスの関係
・国が推進する農福連携支援の仕組み
・請負契約による障害者採用の仕組み
・食糧危機に備えたフードサプライチェーン変革
・サラリーマンとしての農業転職→農業法人の独立起業
・趣味+サイドビジネスとして取り組む水耕栽培
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2023.4.28
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