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  日本でも偽物が出回るほどヒットしているキッチン用品の「ルクエ」はスペインにあるメーカーが発売元。なぜスペインの製品が世界で人気になっているのか、その理由を理解することで、欧州とのビジネスを手掛ける上のヒントになる。
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センスと知財で飛躍したスペイン企業
「ルクエ」の成功法則
written in 2011/6/19

 スペインの製品には、デザインの斬新さやセンスが光っているものが多く、それをいち早く日本へ仕入れることで成り立っているビジネスは、意外な分野で存在している。その事例として、「 Lekue(ルクエ)」というキッチン用品のブランドは、日本でも販売されて、料理好きな人達からの大ヒット商品になっている。

ルクエの商品は、見た目が華やか、キュートなデザインであることに加えて、「シリコン」を原材料としたキッチン用品であるのが特徴。もともとシリコンは、珪石(けいせき)という天然の鉱物からできており、有害な化学物質を含んでいないため、医療の現場で手術用の部材としても使われているほど、安全性が実証されている。

シリコンは耐熱性にも優れており、200度〜300度の高温に熱しても変形したり、原料が溶け出す心配はないため、電子レンジでの調理に適している。さらに、とても柔らかい素材のため、簡単に折りたためて、収納場所を選ばないことから、キッチン用品の素材としては非常に優れている。そこに着目した、シリコン製キッチン用品のパイオニア的存在が、スペイン・メーカーの「ルクエ」である。

■ルクエ(スペイン本社の公式サイト)
  http://www.lekue.es/
■ルクエ(日本の公式サイト)
  http://www.lekue.jp/

ルクエ・キッチン用品の中でも、最大のヒット商品となった「スチームケース」は、電子レンジで安全、簡単に蒸し料理ができる画期的なもので、これを活用した新しい料理法も色々と考案されている。その他に、野菜を温めたホットサラダが作れる「ベジタブルスチーマー」や、シリコン素材の柔らかさを活かした「レモンスクイーザー(レモン絞り器)」など、日本のキッチン用品には無い発想のユニークな商品を次々と生み出している。

ルクエの商品は、公的な検査機関で安全性の確認がされていることに加えて、デザインや色彩がカラフルで、料理することを楽しくさせる魅力がある。これは、中国製品などには見られない付加価値といえるが、ルクエ社は、スペインの著名なデザイナーと独占契約を結ぶことで、シリコン素材の利点(柔軟性や発色性)を最大限に生かした美的センスに溢れる商品を開発することに、強いこだわりを持っている。

 ルクエは1980年の創業だが、その頃からヒット商品を生み出していたわけではなく、もともとは、プラスチックメーカーからスタートして、冷蔵庫で使う製氷用トレイや風呂用のバスマットなどを自社工場で製作していた。転機が訪れたのは1999年からで、お菓子用の型をシリコンで製作することを考案して、そのパテントを欧州と南北米で取得した。それ以降はシリコン型の種類を増やすことで成功を収めて、2007年からは複数のデザイナーと組むことで、美的センスの高い新製品を次々とヒットさせていった。

世界的なブランドへと飛躍した同社だが、現在でも新興国に委託するのではなくて、バルセロナの自社工場で商品を製造している。それができるのも、人件費が安いスペイン企業の特徴といえる。

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この記事の核となる項目
 ●欧州における所得格差と有望市場の見つけ方
 ●欧州各国の年収比較
 ●キッチンブランド「ルクエ」にみるスペイン商材
 ●プラスチックメーカーから知財企業への転換
 ●ルクエ製品の流通ルート解説と海賊商法
 ●ルクエ並行輸入ビジネスの問題点について
 ●ルクエ以外にもあるスペインの有望商材
 ●モノからサービスへとシフトする貿易と人材の輸出入ビジネス
 ●世界最大19億人の市場を生む、ASEAN−中国自由貿易圏
 ●1万円の海外旅行を実現させる格安航空会社(LCC)の衝撃
 ●オフショアマネーが自国へ環流するルーラルソーシング市場
 ●欧州企業が推進するテレワーカー育成と社会保障問題の接点
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JNEWS LETTER 2011.6.19
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