ビジネスモデル事例集 > 雑種犬をステイタスにする新たな血統書ビジネスの道筋

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いわゆる「血統書」の無い、雑種犬を名犬に育てることが飼い主の新たなステイタスとして浮上している。その方法は、人の役に立つサービスドッグやセラピードッグとしてボランティア活動に参加できるまでの訓練をクリアーすることで、名犬の認証を受けるというものだ。

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雑種犬をステイタスにする
新たな血統書ビジネスの道筋

written in 2009/11/1

　子犬の血筋を把握する上で大切な資料となるのが「血統証明書（血統書）」の存在だが、それを発行しているのは“犬種団体”と呼ばれている組織である。これは、犬の種別毎に血統を管理している団体で、純粋犬種の標準体型や特徴を定義した上で、産まれた子犬の血統書を発行している。

ここで不可思議なのは、同じ犬種でも複数の団体が血統書を発行しているという点だ。たとえば、日本の伝統的な犬種である“柴犬”の標準（スタンダード）は犬種団体によって若干異なっていて、体の骨格や顔の形にも違いがあると言われている。

そのため各団体では、理想形とする犬のモデルを決めるドッグショーや展示会を定期的に開催して、優秀な犬の審査を行なっている。そこでチャンピオンの座を獲得した犬には高い価値が付き、その直子として産まれた子犬も高値で販売されるのが通例だ。つまり、犬種団体の活動をビジネスとして見れば、優秀な犬（チャンピオン犬）の認定を行ない、その血筋を増やしていくという血統ビジネスを展開していることになる。

《犬種団体による血統ビジネス》

この血統管理が完全に行なわれていれば、理想的な体型、性格は温厚で健康な犬が増えていくように思うが、現実には様々な弊害が生じてきている。産まれた子犬の血統書を申請するには、その両親犬も血統書を取得している必要があり、確かにその雄と雌が交配をしたことを証明しなくてはいけないが、実際には書類の記入と、子犬の写真を送るだけで申請が済んでしまうことが多いのだ。

そこで怖いのは、申請された内容が間違っていたり、意図的に偽装されたとしても、血統書が一度発行されると、その犬は生涯にわたり純血種として通用するばかりか、その子孫として産まれた子犬にも、正しくない血統書が発行されて次第に血筋が乱れてしまうという点だ。

さらに、チャンピオン犬を起点とした多数の繁殖が行なわれると、犬種の理想的な標準体型は維持できるものの、血が近い雄犬と雌犬との間で近親交配をする確率が高くなってしまう。これが遺伝子病の原因にもなっている。統計的にみれば純血種のほうが、雑種犬よりも平均寿命が短いと言われているのはそのためだ。

ただし、犬種団体がすべて悪者ということではなく、組織によっては近親交配を規制したり、雌犬が生涯に出産する子犬の数に制限を設けて健康面にも配慮した活動を行なってる。本来の犬種団体は、そうした主旨で設立されたものだが、いつの間にか血統書のブランド化が進行して、それを巧みに利用する業者が増えてきてしまったのだ。しかしそれは、飼い手側が血統についての正しい知識を持つことによって、ある程度の被害を防ぐことはできる。
（ビジネスモデル事例集一覧へ）

　●不良在庫分が転嫁されたペットの価格相場
　●子犬買取りの流通ルートについて
　●犬種団体の役割とペットビジネス利権
　●血統書の中に含まれている情報価値
　●犬種団体が仕切る子犬の繁殖と流通
　●欧州の犬種団体による繁殖管理の方法
　●純血種に拘らない血統ビジネスの視点
　●血統を超えた使役犬としての社会ステイタス
　●セラピードッグにみる雑種犬のステイタス
　●遺伝子検査で白黒を判定する次世代の医療と保険システム
　●血縁と戸籍を超えて新たな家族関係が浮上してくる兆候
　●ペット起業希望者を巧みに操るオンラインペット販売のカラクリ

JNEWS LETTER 2009.11.1
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これは正式会員向けJNEWS LETTER 2009年11月1日号に掲載された記事のサンプルです。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料（個人：月額500円、法人：月額１名300円）による情報提供をメインの活動としています。JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために２週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。

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